ヘリコバクターピロリと胃癌 ~ 苦しくない内視鏡検査|きとう胃腸科内科クリニック
ヘリコバクターピロリと胃癌
最近テレビでヘリコバクターピロリ菌と胃潰瘍、胃癌の関係をよくお話されています。
ピロリ菌で胃潰瘍、十二指腸潰瘍が起こりやすく再発予防のためにもピロリ菌を除菌した方が
良い・・・というのはかなり前からの常識(?)となっています。
胃癌に関してはヘリコバクターピロリ菌と関連している・・・とは考えられていましたが、
今まではっきりとは言われていませんでした。
日本は胃癌が大変多い国です。癌の中でも上位3位以内に位置しています。
今までの科学的なデータでは高濃度の塩分が胃の炎症を起こし、
そのために胃癌も多くなる可能性があるという結果がありました。
しかし、最近になってピロリ菌が胃癌に関係している可能性が高い
ということで臨床実験を行っていました。
その内容は我が国でピロリ菌の除菌後に胃癌がどれくらいの頻度で出現するか?を検討
したものです。
くわしい内容は文部省研究班「Helicobacter pylori 感染と胃癌の発生」(浅香正博班長)が中心とな
って行われました。
年1回の内視鏡検査で5年以上の経過観察症例が 約3000 例登録され
そのうち非除菌群は約1200例、除菌群は約1800例でした。
胃癌の年間発現率は非除菌群で 0.45%
除菌群で0.22%と両群間に統計学的に有意差を認めました。
(経過観察中に発見された 胃癌は非除菌群で 1200例中43例、除菌群で1800例中 23 例)
別の臨床研究では
約1300例の消化性潰蕩患者に H.pylori 除菌を行い、除菌後1年以上内視鏡検査で経過観察された
約1100 例について検討されました。
結果は平均観察期間が 3.4年で、胃癌の発見率は除菌群で 1.21%/ 5 年、
非除菌群では 3.80%/ 5 年と両群間に有意差を認めました。
(除菌成功群 944名から 8例、 除菌に失敗した H.pylori 感染持続群 176名 から4例の胃癌発症)
この様な大がかりな臨床実験の結果でヘリコバクター学会が正式にピロリ菌の除菌が胃癌予防に
有効な方法であるという事を正式に発表することとなったわけです。
しかし、問題があるのです。
潰瘍(胃・十二指腸)がある場合はヘリコバクターピロリの除菌は保健適応となるのですが・・・
胃癌予防のためにピロリ除菌をする場合は保険が適応になっていません。
保険外で診療しますと・・・これが結構な値段です。
ピロリ菌が陽性の場合は基本的に胃癌になりやすいわけですから
胃癌がないことを必ず確認する必要があります。
胃癌があれば胃癌の治療が先ですから・・・
胃内視鏡検査とピロリ菌の確認とピロリ除菌のための薬、診察料その他を保険外診療で行うと
何と最低でも約5万円位になります。
え~た、た、高い・・・と自分も思いました。
自分も実はピロリ菌陽性でした。
自分の場合はもともとクリニックで自分の施設で自分を診療したときは保険診療ができませんので
保険外診療で治療しましたが、
一般の方の場合は5万円以上かかるのは・・・大変です。
しかし、胃がんになりやすい家系の方や身内の方を胃癌でなくされた方にとっては
極めて重要な方法の登場となりました。
胃癌を医学的にある程度予防可能となったのですから・・・
自分の家系は胃癌の家系ではないのですが、もし家系的に胃癌の家系の時には真剣に
検討するでしょう。